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トップ・学校インタビュー
渡辺 利夫 氏
拓殖大学に集う君たちへ
拓殖大学 学長
渡辺 利夫 氏
「公」に奉仕し、「公」のために生きる人間を育成する
拓殖大学に集う君たちに、どうしても伝えておきたいことがあります。君たちが幸せになってほしいという私の願いについてです。君たちにこれからの長い人生を幸せに送る、そのための物の考え方を、拓殖大学で是非身に付けてほしいのです。
誇りの持てない人間に幸福がやってこないことは自明です。それでは、私どもはどうやったら誇りを手にすることができるのでしょうか。結論から先に言えば、自分のため、自分の私的利益のためだけに生きても、誇りを手にすることは決してできません。自分を取り囲む共同体や社会という「公」に奉仕し、「公」のために生きる、そういう精神を身に付けた人間のみが誇りをもちうるのです。
私的利益はこれをいくら追求しても、その向こうにあるものは、ほんの小さな自己満足だけです。自分以外の何ものかのために生き、共同体や社会に貢献することによって得られる、心の底から湧き出るような幸せは得られません。
「公」に生きる、といえば少々高遠な表現に過ぎるかもしれませんが、私のいいたいことは、弱い立場の人々のことをつねに思いを寄せ、彼らのために行動する、ということです。経験してみればすぐに分かることですが、そうした思いと行動がわれわれをなぜか名状し難い誇りと幸福に導いてくれるのです。人間とはそのような存在として創られているものだと私は思われるのです。
現在の日本では、個々の人間が個々に生き、共同体や社会と共に生きているという実感、いわば「共生感」が手ひどいほどに薄れています。
人間がそれぞれ私的利益のみを追求し、共同体や社会の中に住まっているという共生感を失ってしまえば、残るのは自分一人という「個」のみです。他の誰をもあてにせず、信用もせず、愛することもなく生きる「個」という存在は、本来ありえません。ですから、私的に生きることが人間の幸福につながることなど、論理的にもありえないことなのです。
君たちは拓殖大学のキャンパス生活の中で、スポーツであれ、趣味であれ、文学であれ、他の何であれ、共に楽しみ、共に涙する友人や教師との共生感を是非身に付けてほしい。そういう共生感は、君たちの長い人生において諸君を繰り返しそこに立ち返らせる「古里」なのです。古里のもてない人間もまた不幸な存在なのです。共生感の中で生きることが、公に生きることの出発点なのだと私はいいたいのです。
公に生き公に奉仕することが人間に誇りと幸せをもたらします。拓殖大学の伝統は、公に生き公に奉仕する人間を育成することにあります。台湾協会学校として創立され、台湾の統治と近代化に渾身の力を注いだ先輩達、その後は台湾のみならずアジアやラテンアメリカの多くの国々で公に殉じた先輩達の血と涙があって、拓殖大学は拓殖大学たりえているのです。
拓殖大学に集う君たち!「公」に生きようではありませんか。そうすることによって初めて得られる誇らしさ、充実した晴れやかな人生に目覚めようではありませんか。
渡辺 利夫 氏
渡辺利夫氏プロフィール
[最終学歴]
慶應義塾大学大学院 経済学研究科博士課程(1970年3月)
[学位]
経済学博士(慶應義塾大学1980年)
[学位論文]
開発経済学研究−輸出と国民経済形成
[主な職歴]
1975年10月 筑波大学助教授
1980年 4月 筑波大学教授
1988年 4月 東京工業大学教授
2000年 4月 拓殖大学国際開発学部学部長
2004年 4月 拓殖大学大学院国際協力学研究科委員長
2005年 4月 拓殖大学 学長
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